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ＤＨＡ研究ではたびたび登場する富山医科薬科大学の浜崎先生は、ＤＨＡが実際に、人の心理状態（落ち着き）に影響をあたえるかどうかを調べるべく、富山医科薬科大学と四日市大学の学生たちにボランティアを募って調査を開始しました。

調査期間は、３ヵ月間。学生４１人を「ＤＨＡカプセルを飲んでもらう群」と「ＤＨＡ以外の油（リノール酸が多い大豆油主体）のカプセルを飲んでもらう群」の二つのグループに分けて、調査開始時と、３ヵ月後の調査終了時にそれぞれテストを行ない、両群の知能および心理状態の変化を比較しています。

ちなみにこの調査は、慎重を期す意味で二重盲検と呼ばれる判定法で実施されました。

二重盲検とは、カプセルを飲ませる人とカプセルを飲む人、つまり研究者（この場合は浜崎先生）と被験者（この場合は学生ボランティア）のいずれもが、どちらのカプセルが本物のカプセル（ＤＨＡ含有カプセル）なのか、あるいはどちらが偽カプセルなのか、最後まで知らされません。

特定の第三者だけがそれを知っていて、三ヵ月後に結果がでた時点で、研究者と被験者にどちらが本物のカプセルであったかが知らされるしくみになっています。

だから浜崎先生が、途中で持論に有利な方向に操作することは不可能だし、学生たちが妙な暗示―たとえば「このカプセルを飲んでいれば落ち着きがでる」などと言われて飲み続ければ実際には何の効果のないものでも効果が出てきてしまうのが、人間のサガというものです―に捉われる心配もありません。

じつに信頼性の高い結果が得られる判定法なのです。

さて、調査の具体的な内容ですが、知能に関連するテストとして「ＳＴＲＯＯＰテスト」「痴呆検出テスト」「記憶力テスト」の三種。それに「ＰＦスタディー」という心理テストを加えた四種のテストで判定しています。

ＳＴＲＯＯＰテストとは、瞬間的な判断力を調べるテストで、たとえば赤い文字で「緑」と書いてあるものを、そのときどきで赤と回答させたり、緑と回答させたりします。

のんびりやれば小学生でもできる試験ですが、瞬間的に、しかも継続的に、いかに正確な判断を下していけるかが判定されます。

一方、痴呆検出テストは、３〜４行の短文が提示されて、その文章を読みながら、同時に指定された文字にマルをつけていくテストです。

指定文字は、濁音文字であったり、「あ・い・う」の３文字であったりします。

文章を一読したあと、その内容についてもそれぞれの問いに答えねばならないので、マルをつけることばかりに集中していると、うっかり文章の内容を見落としてしまうし、その逆もあります。

実際の痴呆の検出には、ひらがなだけの文章を使いますが、今回は学生用に多少レベルアップしてあるので、その意味でもなかなかキツいテストのようです。

記憶力テストについては、調査開始時に一回目のテストを行なうと、ＤＨＡの効果が判定できないため、調査開始から１ヵ月半後に短期記憶テストを行ないました。

さらに１ヵ月後の終了時には一回目の短期記憶テストで記憶したものを思い出してもらい、長期記憶テストとしました。

ただし長期記憶テストでは、同じ問題を出すということを悟られないようにしました。

短期と長期の記憶力テストは、ともに三種のセッションがあり、一つは一分間ぐらいの物語を二回聞かせて記憶させるもの。

そして二字熟語の漢字を２０個覚えさせるもの。もう一つが、１１匹の動物が描いてある絵を見せて記憶させるものでした。

結果的に、以上の三つの知能関連テストはすべて、ＤＨＡ群と対照群にほとんど差が出ませんでした。

つまり、ＤＨＡの頭を良くする効果は、この調査では立証されなかったわけです。

では、浜崎先生が最も注目していた心理テストの結果はどうでしょうか。こちらは次回ご案内します。

参考になさってください。

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