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アレルギー発症を促す環境因子の一つに、最近では脂肪酸の摂取バランスも注目されています。

というのも、アレルギー疾患の患者さんの血中成分を調べてみると、血中のω３／ω６比がかなり低いことが明らかになっているからです。

つまりアレルギー患者では、ω６系のリノール酸の摂取量に対して、ＤＨＡやＥＰＡといったω３系の油の摂取量が少ないというわけです。

実は、アトピー性皮膚炎の小児６２例に、従来の治療法に加えてＤＨＡカプセルの摂取を試み、大きな成果を得ています。

これまでＥＰＡの抗アレルギー作用についてはすでにいくつか報告が出ていました。

そうした経緯から、ＤＨＡの働きに注目したわけですが、実際にＤＨＡをアトピー性皮膚炎の患者さんに用いるにあたっては、従来の治療法を優先したうえで、それでもなお改善の難しい患者さんに限って実施します。

従来、アトピー性皮膚炎の治療は基本的に次の手順で行なっています。

まず最初はスキンケア。皮膚症状は、ときとしてブドウ球菌をはじめとする感染によって増悪することがありますので、その感染に対しては皮膚を消毒するなどのケアをほどこします。

そして次に環境の整備。ハウスダストやほこり、ダニなどを身の回りからできるかぎり排除してもらいます。

三番目は、外用剤の適宜使用です。非ステロイド剤、ステロイド剤などをうまく組み合わせて副作用の出ない形で対処します。

さらに四番目として、子供のアトピー性皮膚炎は、特定の食物がアレルゲンになっている例が多いので、原因の食物が特定できればそれを除去します。

ただし、原因の食物の特定はかなり慎重に行なわなければならず、たとえ血液検査で特定できたとしてもむやみやたらに除去するのは好ましくありません。

たいていの病院では、ラスト法で２以上のスコアが出れば陽性とされます。その場合、たとえば卵のスコアが２以上と出れば、卵、卵を使った料理すべて除去されることが少なくありません。

しかし実際には、ラスト法で卵が陽性と出たからといって、本当に卵がアレルギーの原因なのかどうかは確定的ではないんです。それにも関わらず、一般にはこれで陽性と出ると、それだけですぐに卵をやめさせてしまうことが多い。これは非常に問題です。

なにしろ卵は、いろいろな料理の素材に使われていますから、それらを全部除去してしまうとなると、成長期の子供にとって大きなマイナスです。

スコア３以上を陽性としていますが、たとえこのラスト法で特定の食物が陽性と出ても、それだけで食物の除去に踏み切ることはしません。

ラスト法の結果をあくまで一つの目安として、他のいろいろな検査を行ない、最終的には、実際に卵を除去する“除去試験”と、逆に卵を負荷する“負荷試験”を行なってみて、本当に卵をやめたら良くなるか、本当に卵を食べたら悪くなるかを確認したうえで、やはり卵が原因だということがわかれば、その時点で初めて卵の除去を実施します。

その場合でも、むやみに卵料理一切を除去するのではなく、生の卵が食べられないなら、ボイルした卵ならどうだろう、あるいは加工した卵なら大丈夫ではないかといった具合に、どうしたら食べてもらえるかを考えて治療にあたることが大切です。

つまり「いかにやめさせるか」ではなくて、「いかに食べてもらえるか」という姿勢で、つねに診断をつける必要があるのです。

とはいえ、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、アレルゲンの食物などを特定できない例が少なくありません。何が原因なのか、大元のアレルゲンがはっきりわからなければ、三番目の外用剤を用いた治療法から先に進めなくなります。

そこでそういう患者さんに対して、従来の治療法とあわせてＤＨＡを使ってみるというわけです。

参考になさってください。

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